佐野 仁美(2002年度 卒業)

高等学校(教諭)

 

 

Q. 現在の職業と仕事内容を教えてください。

 

A. 私は大学卒業後、3年ほど民間の広告会社に勤め、その後高校の美術教諭となりました。教員生活のスタートは雄大な自然に囲まれた山間地の高校で、クラス担任や美術部を受け持ち充実した4年間を過ごしました。2011年からの2年間は、JICAの現職教員特別派遣制度を利用し、青年海外協力隊としてモンゴルの大学で美術デザインを教える活動をしてきました。帰国後、現在の静岡中央高校に勤務し、県内唯一の公立通信制課程で様々な世代の生徒達に美術を教えています。生徒から送られてくる課題作品を通じて対話を重ね、美術教育の新しい可能性を広げることを目指して、研究・実践の毎日です。

 

 

Q. 学生時代に印象に残っていることや力を入れて取り組んだことについて教えてください。

 

A. 絵画、デザイン、彫刻と、幅広く学ぶ日々の授業や課題は、苦しくも楽しんで取り組んでいたと思います。同時に、明確な目標が見えず漠然とした不安の日々でもありました。そんな自分の転機は3年のゼミ選考。「もっと能動的に行動しなくては」と、自分の意識が変化したことをよく覚えています。私の場合は表現活動に没頭すること以上に、色々な展覧会に通ったり、様々なジャンルの本を読んだりと、吸収する行動を大切にしようとしました。大学祭で美術科の展覧会を企画させてもらったのもよい経験でした。あの頃、見たものや感じたこと、頭が痛くなる程考えたこと、すべてがその後の自分の基盤になっているのは間違いありません。

 

 

Q. 高校生にメッセージをお願いします。

 

A. かつては大都市でしか成立しなかったことが地方でも可能になり、逆に地方にしかない価値に多くの人が気づき、ローカルサイドからグローバルな試みがダイレクトに発信できる時代になりました。さらに10年後の社会はどうなっているのでしょうか?そんな視点を持っていれば、これから地方大学でアートやデザインを学ぶことほど面白いことはないと思います。課題がある場所でこそ、アートやデザインの意味が問われます。「想像する力」を「形にする力」にできる人が、静岡にたくさん出現することを期待しています。